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一版社団法人EBEC キックオフイベントを開催

最終更新: 3月17日

一般社団法人EBECは、去る2月18~19日に東京と大阪にて、キックオフイベントを開催した。当日はブロックチェーン技術の導入に関心のある旧一般電気事業者や新電力、大手メーカーなどが多数集まり、同技術に知見の深い登壇者による講演の後、質疑応答やパネルディスカッションを行った。


各登壇者による発言要旨は以下参照。


<2月18日(火) 東京会場>

登壇者 :平手 宏志朗氏(elDesign株式会社 マネージャー)

タイトル:電力取引におけるブロックチェーン活用事例


エネルギー業界におけるブロックチェーンの活用方法について、elDesign株式会社の平手宏志朗氏が登壇。



まず平手氏は、ブロックチェーンの種類である Public型とConsortium型について解説。それぞれの特徴や用途の違いを述べたうえで、エネルギー業界においては複数企業で1つのシステムの共同管理を可能とする Consortium型を用いたプロジェクトが現時点では多いと語った。


さらに今後の動向として、再生可能エネルギーの増加、調整市場や特定電気取引の普及といった電力市場の環境変化が同技術の普及に大きく関わることを指摘。市場環境の変化により、従来の電力売買の仕組みに留まらない、多くのプレイヤー間での複雑かつ細かな取引が発生することとなるため、ブロックチェーンによるシステム構築が今まで以上に有効になっていくだろうと述べた。


elDesignが2020年3月より実施するブロックチェーンを活用した電力取引の実証実験に関しても言及し、同技術を活用することで発電家にはより高額で電力販売する機会、需要家には直接発電家を選択する機会を提供できると意気込んだ。



登壇者 :太田 真氏(IOST / IOS財団 日本市場担当)

タイトル:次世代ブロックチェーン開発財団 IOSTの取組み


次世代ブロックチェーンを開発するIOST/IOS財団において、日本市場を担当している太田真氏が登壇。既存のPublic型ブロックチェーンと比べて、IOSTはスケーラビリティや開発環境といった面で優位性があることを強調。また、同技術はプリンストンやハーバード大学の卒業生や、国際情報オリンピックの金メダリスト等、優秀なメンバーによって支えられていると語った。



IOSTはelDesignと電力取引の実証実験を実施することとなっているが、その他にも鹿児島県与論島における地域通貨、中国におけるドローンデータの管理、アフリカの子供たちへの寄付プロジェクトなど、社会実装が着々と進んでおり、この流れを今後も加速させていきたいと意気込んだ。



登壇者 :Michael Merz氏(PONTON GmbH Managing Director)

タイトル:電力取引におけるPONTONの取組み


電力の卸売市場を中心にブロックチェーン技術の導入を進めている、PONTON社のマネージングディレクター Michael Merz氏が、ドイツからオンラインで登壇。



まず2030年に電力市場は「村」、「地域」、「旧一般電気事業者の管轄エリア(DSOエリア)」の3つの層に分かれていく、そのため各層において需要と供給をマッチングさせ効率的に取引実行する必要があると説明。 PONTON社は各層およびDSOエリア間にそれぞれブロックチェーンベースの取引システムを提供し、取引コストの大幅削減を目指していると語った。


またエネルギー業界において行われたブロックチェーン実証実験のうち、95%以上は同技術を用いる必要が無いものだったと指摘。ブロックチェーンを用いるメリットを明確にしたうえでプロジェクトを行うべきだと協調した。



登壇者 :大串 康彦氏(LO3 Energy Inc. 事業開発ディレクター)

タイトル:分散型エネルギーシステムの時代における電力取引


ブロックチェーン技術を活用した電力市場プラットフォームを開発・構築するLO3 Energy 社において、事業開発ディレクター(日本担当)を務める大串康彦氏が登壇。



大串氏は今後 、分散型電源の普及、発送電分離、電力関連市場の発達により、「コミュニティ内や需要家間における、電力・環境価値取引」および「分散型電源の系統運用への参加」がより活発になっていくだろうと指摘。LO3 Energyはその時代を見据えたエネルギー情報・取引基盤の構築を進めていると説明した。


次にLO3 Energyが世界で展開しているプロジェクトを解説した後、同社が開発するローカルエネルギー市場プラットフォーム「Pando」を紹介。小売電気事業者は「Pando」を用いる事により、需要家へ発電源を選択する機会を需要家に提供し、新たなビジネスモデルの構築が可能になると語った。



<2月19日(水) 大阪会場>

大阪でのキックオフイベントでは、東京で登壇したelDesignの平手氏、IOST/IOS財団の太田氏、LO3 Energyの大串氏に加えて、Wave Financialの日本市場担当 Jim Maricondo氏が登壇。


登壇者 :Jim Maricondo氏(Wave Financial. 日本市場担当)

タイトル:証券トークンの活用


まずWave Financialは、流動性の高い私募ファンドの構築を目指しており、資産運用の経験が豊富なメンバーによって設立されたと説明。


また、同社は証券をブロックチェーン上で発行・取引するサービス(証券トークン)の提供に特化しており、これまでにウィスキーを証券化した。将来的には不動産や美術品といった資産への応用も、検討している。同技術を用いる事のメリットとして、(1)取引の低手数料化 (2)世界中での取引が可能になる (3)高い流動性 (4)セキュリティの向上 等が上げられると語った。


そしてエネルギー業界における証券トークンの導入は、ユースケースはまだ多くないものの、例えば新規インフラ構築のための資金調達や、太陽光発電による売電収入の分配、太陽光発電のセカンダリーマーケットにおける分割所有権といった分野にて可能性があるのではないかと語った。



まとめ


盛況となった東京、大阪でのキックオフ。質疑応答では、なぜブロックチェーンを用いる必要があるのか、将来的にどの様なビジネスモデルが可能かなど、事業化を見据えた上での質問が多く関心の高さが伺えた。また懇親会では、登壇者と直接話ができることから多くの参加者が集まり、同技術の普及に向けて活発な議論が交わされた。


同技術を用いた事業化に向けては、本キックオフでPONTON社のMerz氏も述べた通り、ブロックチェーン利用ありきではなく、各社が持つ課題やニーズを解決するために同技術を有効に活用するプロジェクトを立ち上げていく必要があるだろう。EBCでは今後、ワーキンググループの組成等を通して、各参加者のニーズに合った仕組みを提供していく。





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